スカーナの穏やかな丘陵を分け入ると、トッレアチェナイアの農地が広がる。 それはかつてのピッティ侯爵家の領地であった、、、。

最後のピッティ家の末柄であるロベルト・フェッランディ伯爵は、所有地の相続権譲渡にあたり、ピッティ家の紋章と共にフィレンツェの由緒ある一族の名前を有効使用することを譲った。その名称は“Cenaia Antica proprieta’ dei Pitti” とする。

500ヘクタールにわたる豊かな森と湖と沼とブドウ畑が広がるその土地には、壮大なる魅惑的な糸杉の並木道が中央をはしり、中へとつずく。 55の森と11の湖、30の特定の葡萄畑を包括している。 野ウサギの繁殖に適した野生生物保護区であり、湖は在来種と渡り鳥など多くの水鳥の理想的な生息地である。

門をくぐるとそこはかつて昔の風景が映し出される。 あたりの畑を眺め回せば、あちらこちらに古い昔の農家が点在する。

しばしば一匹の雉の羽ばたきや野うさぎが走り抜けるのにはっと驚かされる。 田園一帯の風景は地中海性の低木群の中に道をつくり、ところどころにある池には青サギやマガモの群れを囲っている。 湿地帯の生い茂った草木に囲まれ、朝もやでおだやかな風景が広がる。

トッレアチェナイアは、農業と環境と景観の保護を目的とした最先端の技術が組み合わされた、新しい農村世界のプロトタイプである。 高貴なピッティ家の歴史的な所有者から受け継がれてきた古代の自然への敬意は、現在の所有者であるテルジ家とコッピーニ家に賢明に受け継がれ、このトスカーナの緑豊かな生態学的遺産は今日もつずいている。 またグリーンエネルギーの生産を目的とした廃棄物のリサイクルにより、環境の保護に貢献している。

中世の終わり頃のこの地の由来についてたどってみるとしよう。:ピサ市が所有する書簡にチェナイア地区の1120もの特性が記されている。そこに“塔のある家”とあり、これがこの会社の名前の由来するところである。数世紀に渡りこの土地は、貴族のヴァレリ家、デ・ベアン家、ピッティ家等が所有していた。

まさにピッティ家が所有していた時代に、この領土におけるこの土地の持つ大きな可能性と、葡萄酒製造分野における研究とその質からもたらされる真価を見出した。 彼等の熱意は特殊なワインを生み出し、今もなおカンティーナにて製品として生産されつずけている。 そのワインに彼等ピッティの名前と紋章を残した。最後のピッティ家の伯爵であるロベルト・ピッティ・フェッランディは直筆の遺言書においてトッレアチェナイア社に、フィレンツェのピッティ家の紋章と名称“チェナイア アンティーカ プロプリエタ デイ ピッティ”と共に使用することを容認した。

こういった歴史的な流れから、コッピーニ家とテルツィ家の人々により、この土地環境の持つ召命、この土地がもたらす素晴しい産物、穏和な気候、などの理由からこの土地を有効に利用していこうという希望のもとに、トッレアチェナイア社が生まれた。

現在の所有者はAntonio Terziアントーニオ テルツィ、Battista Coppiniバッティスタ コッピーニの二人の若いオーナー。彼らはこれからの評価に値する新しいワインを生み出していくことである。

今日トッレアチェナイアは狩猟保護地区である。様々な種類の動物が生息し、珍しい特殊な野兎など、狩猟地区として指導的な会社でもある。

とりわけ農産物や葡萄酒生産における質の向上、つまり葡萄の苗の生育(コルドン・スペロナート式とギョット・サンプル式)や運搬システム葡萄酒製造における環境への配慮などにおいては、頭角を現している。勿論葡萄製造の技術は言うまでもなく、伝統的な方法に目を向けることを重んじながら新しい技術を取り入れることの必要性に対応している。

9000ヘクトリットル(100リットル)の収容量を持つカンティーナは、イノックスの銅製の樽とオーク材の木の樽が置かれており、温度調節機能と冷蔵機能の設備がなされている。 エノロゴ(葡萄酒研究家)であるグラチィアーナ・グラッシ女史に従いつつ、この分野にあいてもっとも新しく革新的なものを導入している。

2017年の収獲から始まったワイン全てにオーガニックのマークをつけています。

2018年より有機適合証明書が会社全体(土地、農産物、ワイン)について取得しています。 土地は300ヘクタールの葡萄園、340ヘクタールの耕作地がQCertificazioniから証明書が発行されヨーロッパ諸国の品質基準を満たしています。 非常に長い道のりの結果で、大変大きな誇りです。

これは当社の哲学に導かれ、持続可能な未来を描きつずけるより人間的なスケールのものです。

私達が毎日食べたり飲んだりするものでありこの重要な事柄に、この地で取れる葡萄が並外れた品質であることが認められたのです。

実際2013年から取り組み、有機栽培のためのヨーロッパ規制によって認可された原材料と製品を使用して3年間の変換期間ののちついに認定を受けました。

認定にはすべての農薬と合成化学肥料は禁止されています。そのため,真菌や寄生虫からの植物の受粉と害虫からの防御のプロセスは、有機肥料や植物の免疫防御の予防的強化、例えばバランスの取れた受粉、他の植物から得られた銅、硫黄、有効成分などの天然由来の農薬を使用したり、レディバードやテントウムシ、その他の最も一般的な害虫の使用などの自然の生態形を使って行われます。

セラ―ではワイン製造プロセスにおける合成化学物質を除く、特に硫酸塩の使用に上限をもうけ、すなわち二酸化硫黄全て、赤ワインの場合は100mg/L、白ワインの場合は150mg/Lで上限が設定されています。